PR

#0001 急性呼吸窮迫症候群における吸入鎮静:SESARランダム化臨床試験

Jabaudon M, Quenot J, Badie J, et al. Inhaled sedation in acute respiratory distress syndrome: The SESAR randomized clinical trial. JAMA. 2025;333(18):1608-1617. doi:10.1001/jama.2025.3169.

【抄録】
重要性:ARDS成人の鎮静において吸入麻酔薬の戦略が静脈鎮静より優れるかは不明。目的:セボフルラン吸入鎮静がプロポフォール静脈鎮静と比べ、有効性・安全性に与える影響を検証する。方法:フランス37 ICU、早期中等度〜重症ARDS成人を無作為化し、最大7日間の吸入セボフルラン対静脈プロポフォールを比較。主要評価は28日時点の人工呼吸器離脱日数、副次として90日生存など。結果:28日人工呼吸器離脱日数はセボフルラン群で少なく(中央値差 −2.1日、95%CI −3.6〜−0.7)、90日生存もプロポフォールが良好(HR 1.31〔1.05–1.62〕でセボフルラン不利)。7日死亡やICU退出日数もセボフルランで不利。結論:ARDSにおける吸入鎮静は、プロポフォールに比べ28日人工呼吸器離脱日数と90日生存で劣っていた。

【PICO】
P:早期中等度〜重症ARDS成人(PaO2/FiO2<150、PEEP≥8)
I:セボフルラン吸入鎮静(最大7日)
C:プロポフォール静脈鎮静(最大7日)
O:主要=28日人工呼吸器離脱日数、副次=90日生存、ICU退出日数、7日死亡など

【要約】
a) 既知:吸入鎮静は理論的利点があるが、ハードアウトカムでの優越は未確立。
b) 付加:多施設第3相で吸入鎮静の不利(人工呼吸器離脱・生存)を示した。
c) 将来への示唆:ARDS標準鎮静はプロポフォールが妥当。吸入鎮静の routine 採用は推奨されない。
d) 方法の要点:多施設無作為化、評価者盲検、事前規定主要評価、ITT。
e) 強み:大規模、臨床的に意味ある主要評価、90日生存を含む。
f) 限界:オープンラベル、鎮静深度や補助鎮痛の差の影響、資源環境の限定。

【ポイント】
・セボフルラン吸入鎮静はプロポフォールより28日人工呼吸器離脱日数が少ない。
・90日生存もプロポフォールに劣り、吸入鎮静の優越は示されない。
・ARDSの鎮静選択はプロポフォールを第一選択とする妥当性が強化。

タイトルとURLをコピーしました