Yin J, Hou Y, Wang C, Qin C. Clinical outcomes of baricitinib in patients with systemic lupus erythematosus: Pooled analysis of SLE-BRAVE-I and SLE-BRAVE-II trials. PLoS One. 2025;20(4):e0320179.
【抄録】
背景:JAK1/2阻害薬バリシチニブはSLEで検討されたが、2つの第3相試験の結論は不一致。本研究は両試験(計1,535例、52週)を統合し、SRI-4を主要評価として有効性・安全性を検討。結果:全体ではSRI-4達成率に群間差なし(4 mg OR 1.27、2 mg OR 1.09)。ただし、ベースラインステロイド≥10 mg/日や高疾患活動性(SLEDAI-2K>10)では効果の示唆。主要副次評価項目は未達。有害事象の増加は認めず。結論:全体平均では有効性を示さないが、特定サブグループで有効性の可能性。
【PICO】
P:活動性SLE成人(CNS/重度腎は除外)、標準治療併用
I:バリシチニブ4 mgまたは2 mg 1日1回
C:プラセボ
O:主要=52週SRI-4、主要副次=重篤増悪までの時間、ステロイド減量等、安全性
【要約】
a) 既知:SLEの新規標的治療は多くが陰性または限定的効果。JAK阻害薬の役割は未確立。
b) 付加:2つの第3相RCTの個票レベルに準ずる統合解析で全体効果とサブグループ効果を明確化。
c) 将来への示唆:高疾患活動性や高用量ステロイド患者など層別化治療の可能性。適切なエンドポイント選択・レスポンダー予測が鍵。
d) 方法の要点:多施設二重盲検並行群、52週追跡、事前規定の主要評価項目、統合解析で一貫した統計枠組み。
e) 強み:大規模サンプル(n=1535)、事前登録試験の統合、詳細なサブグループ検討。
f) 限界:事後解析的要素、主要・副次評価未達、腎・CNS重症例の外挿不可、出版バイアスの可能性。
【ポイント】
・SLE全体ではバリシチニブの主要アウトカム改善は示されず。
・高活動性や高用量ステロイド群では効果の示唆があり、層別化が重要。
・安全性面では大きな懸念は増えず。